婦人科診療のご案内
がん検診
子宮がんには主に2つのタイプがあります。
子宮の入り口に出来る子宮頚がんと子宮の奥にできる子宮体がんです。
子宮頚がんは20歳から40歳ぐらいの若い女性に多いのが特徴です。
また、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染すると発癌しやすくなります。
20歳を超えたら2年に1回は子宮がん検診を受けましょう。
婦人科疾患
子宮筋腫
子宮にできる良性の腫瘍(こぶ)で30歳以上の女性の20〜30%にみられます。
症状は生理の量が多くなること、月経量が多いことによる貧血、強い生理痛、膀胱が圧迫されて尿が近くなるなどが起こります。
治療は、
1.症状に応じて痛み止めや貧血の薬を服用する。
2.ピル(経口避妊薬)を服用する。排卵が無くなると月経量が減り、子宮内膜症からの出血も少なくなり、症状が軽快します。
3.薬で女性ホルモンを低下させて月経を止めてしまう。結果的に子宮内膜症も萎縮して小さくなります。
4.手術には子宮(と卵巣のう腫)を取る子宮全摘術(+卵巣のう腫摘出術)や子宮内膜症の部分だけを切除する手術があります。
子宮内膜症の手術は腹腔鏡手術の方が、術後の癒着が少ない、術後の妊娠率が向上するなどのメリットがあります。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来子宮の内腔にある子宮内膜が子宮以外の卵巣、腹腔内などで増殖、出血し、生理痛、性交痛、排便痛や不妊症を引き起こす病気です。卵巣にできた子宮内膜症をチョコレートのう胞といいます。
また、子宮内膜症は40歳を過ぎると0.7%ほどの確率で癌化することが知られています。
治療は、
1.症状に応じて痛み止めや貧血の薬を服用する。
2.ピル(経口避妊薬)を服用する。排卵が無くなると月経量が減るので、生理痛も少なくなります。
3.薬で女性ホルモンを低下させて月経を止めてしまう。(偽閉経療法)結果的に子宮筋腫も小さくなります。
4.手術には子宮を取ってしまう子宮全摘術と筋腫だけ取る筋腫核出術があります。
当院院長は腹腔鏡手術技術認定医ですから、高の原中央病院と連携して、ほとんどの症例を腹腔鏡を使って1〜2cmの小さな傷で手術する腹腔鏡手術で行っています。
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍は卵巣の中に液体や脂などがたまってできる腫瘍です。
ふくろ状の腫瘍(多くは良性)となかにかたまりができる腫瘍(悪性の場合がある)があります。
治療は原則、手術療法です。
更年期障害
閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を「更年期」といいます。
更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。
症状はホットフラッシュ、ほてりなどの血管運動障害、イライラ、不眠などの精神障害、めまい、頭痛、肩こりなどの身体障害があります。
治療は漢方療法、ホルモン補充療法、向精神薬などが一般的です。
当院院長は漢方専門医ですから、さまざまな生薬の組み合わせで作られている漢方薬を駆使して、全体的な心と体のバランスの乱れを回復させるお手伝いをすることができます。
月経前症候群(PMS)
ブライダルチェック
結婚前の女性を対象としたトータルチェックを行っています。
内容は、血液検査、性感染症検査、女性ホルモン分泌検査、内診・超音波検査などがセットになっています。子宮頸がん・乳がん検診、甲状腺機能や膠原病の検査なども追加できます。
最近ではカップルで受けられるブライダルチェックもあり、男性の性感染症検査や精液検査、ホルモン検査などのプランもあります。
ちなみに、女性の甲状腺機能に異常があると、排卵が起きなくなったり、黄体機能が低下して、不妊症・不育症の原因になったりすることがあります。膠原病は、習慣流産、胎児発育遅延などの原因になります。
結婚の予定がなくても、一般的な健康診断や婦人科検診、乳がん検診は定期的に受けておきたいですね。
また、性感染症は不妊の原因にもなります。パートナーが変わったタイミングで、性感染症の検査を受けておくことをお勧めします。
また、結婚後の女性には上記の内容にプラスして、超音波検査で排卵の有無をチェックする「プレママチェック」もご用意しています。
不妊症
不妊のカップルは約10組に1組と言われていますが、近年、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、この割合はもっと高いとも言われています。
全く病気とは無縁で病院を訪れることのなかったカップルにとっては、不妊ではないかと考えただけで大きな不安をお持ちになることと思います。まずは健康であることを確認し、人生のプランをたてるために、当院にご相談ください。
不妊症の原因は、女性では、排卵がうまくいかない排卵因子、卵の通り道に障害がある卵管因子、子宮の形などに異常がある子宮因子、女性ホルモンや甲状腺ホルモンに異常があるホルモン因子などがあります。
また、男性では精子の数が少ない造精機能因子、精子の通り道に障害がある通過障害因子、勃起不全や射精障害になる性機能障害因子などがあります。適切な検査をして原因を追求し改善していくのが治療への近道です。
当院での治療法はタイミング法、排卵誘発法、人工授精には対応しています。
何度かチャレンジしても妊娠に到達できない場合は連携している不妊専門病院をご紹介することも可能です。
避妊相談(ピルについて)
ピルの種類・特徴
低用量ピル(OCとLEP)
低用量ピルは2剤の女性ホルモン、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)が配合された飲み薬(錠剤)です。
以前から処方されている中用量ピル(プラノバール)のホルモン効果を保ちながら副作用を減らして、毎日、長期に内服できるように開発されました。
低用量ピルのなかで、避妊目的で使用される自費のピル(低用量経口避妊薬=Oral Contraceptives)を日本では「OC」と呼んでいます。
マーベロン、アンジュ、ラベルフィーユ、トリキュラー、シンフェーズなどがあります。
月経困難症などの婦人科の治療薬として用いる保険のピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン療法=Low dose Estrogen Progestin)は日本では「LEP」と呼んで区別していますが、どちらも同じ低用量ピルで基本的な作用は共通しています。ルナベル、フリウェル、ジェミーナ、ヤーズなどがあります。
OC,LEPどちらのピルにも、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが配合されていますが、2つの女性ホルモンの配合量の違い、黄体ホルモンの割合の違いにより一相性、三相性(科研製薬ホームページより引用)に分類されています。
(科研製薬ホームページより引用)
ピルのメリット
・避妊効果がある
・月経周期が規則的になる
・出血期間は短く、月経量も減る
・月経困難症(月経痛、性交痛、排便痛)が軽くなる
・PMS(月経前症候群)が軽くなる
・子宮内膜症の痛みが軽くなる
・子宮内膜症の術後の服用で、再発が減る
ピルのデメリット
・血栓症(喫煙者に多いため、禁煙が必要です)のリスクがある
・吐気、嘔吐が起こることがある
・月経時以外の出血を起こすことがある
・頭痛、偏頭痛が起こることがある
ピルの副次効果
・にきび、吹き出物、多毛が改善される
・卵巣がん、子宮体がんのリスクが減る
どうしてピルが効くか
月経のしくみ
(あすか製薬ホームページより引用)
月経が終了すると、脳下垂体からの指令で卵巣内に卵胞がそだち、エストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されて子宮内膜が増殖していきます。
排卵期前にエストロゲン(卵胞ホルモン)が最高値になり、卵胞が十分に育つと、脳から排卵の指令があり、卵胞から卵子が放出されます。
排卵が終わった卵巣内の卵胞は黄体という組織に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌します。プロゲステロン(黄体ホルモン)は子宮内膜の血管や分泌腺を増やし、着床しやすい子宮環境を作ります。またプロゲステロン(黄体ホルモン)は基礎体温を上昇させます。
妊娠が成立しなかった場合、厚くなった子宮内膜ははがれ落ち月経として体外に排出されます。
ピルのはたらき
ピルを服用すると、ピルに含まれているエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を脳が感知し(脳がもうホルモンを出したとかん違いし)、これが脳下垂体に伝わって卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)を出さなくなります。
卵巣には指令が出ないので、卵巣からもエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌されず、卵胞の成熟や子宮内膜の増殖が抑えられます。プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌も抑制されるため排卵も着床も起こらなくなります。
(科研製薬ホームページより引用)